コロナが流行し始めた去年から病床ひっ迫や人手不足、医療崩壊と言われ続けています。
しかし現状は病床ひっ迫や人手不足の課題は深刻化しており、人材確保は厳しさを増している状況です。
【令和3年4月18日現在の新型コロナウイルス感染症に関する状況及び厚生労働省の対応について】
国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は529,829例、入院治療等を要する者は38,759名でうち重傷者は723 名となりました。また、死亡者は9,622名となりました。
厚生労働省HPより
4か月前のデータに比べ、
- 国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は約3倍
- 入院治療などを要する者は1.5倍
- 重傷者は1.3倍
- 死亡者数は約4倍
と増加傾向となっています。
また新型コロナウイルスの変異株国内でも確認され、全国的に感染拡大に歯止めがかかっていない状況です。
では、なぜコロナが流行し始めた時からの課題である病床数の増大や人手を確保することが困難であるのか?
結論…
新型コロナ感染拡大により、全国の医療機関に勤める看護職員の離職を考える人が4割にのぼるからです。(朝日新聞の記事より)
理由としては、
- 過酷な労働状況
- 有給が自由にとれない
- 国からの手当ても不十分
- コロナによる経営悪化によりボーナスカットの病院もあり
そのため離職を考える医療従事者は多く、病床数が確保できたとしても患者さんを看るスタッフが足りていません。
今回はコロナ病棟で働いてきた中で感じたことを、実体験をもとにお話ししていきたいと思います。
1例と思って読んで頂けたら嬉しいです。(ˊo̴̶̷̤ ᴗ o̴̶̷̤ˋ)
リアルなコロナ病棟の現場
コロナ患者さんの増加による混乱
コロナに感染する患者さんや医療従事者が増え、人員不足となったためコロナ病棟で働くことになりました。
初めは、
頑張るしかない。元の病棟に戻れるまでの辛抱!
と前向きな気持ちでした。
しかし現場は想像以上に混乱していました。
- 熱発や状態が悪化していく患者さん
- 菌の媒介者となっていないかの不安
- どんどん消費し在庫がなくなっている防護服やマスク
- 新しい情報により日々感染対策が変わる現場
何より同居している夫にうつしてしまい、夫の会社にまで影響を及ぼすようなことにならないか心配でした。
実際夫も職場の上司に、
奥さん看護師やったな?今あの病院コロナの受け入れしてるんやろ?うつすなよー。
と言われたと聞き悲しくなりました。
もっと考えてから決断すべきだったな…。
と後悔しながらも日々の忙しさのため夫に気をつかえるほどの余裕がありませんでした。
- 基本残業は4時間前後
- 食事はお弁当購入
- 家は掃除も行き届かずグチャグチャ
こんな状況でも夫は、
家のことは後回しでいいよ!ゆっくり休み。
と声をかけてくれたおかげで仕事に専念することができ、支えになってくれてました。
重症化する患者さんの対応
コロナにかかっても治療により経過がいい患者さんもいますが、中には急変してしまう方も数多くいます。
急変に携わると、
早く兆候に気づいていれば…。私が受け持ちじゃなければ…。
など負の感情が頭の中をグルグルしていました。
また認知症やせん妄の患者さんはコロナに感染していることはもちろん、隔離制限が必要であることを忘れているため頻回に部屋から出ようとします。
もし部屋から出てしまえば感染拡大につながるので、その行動を制止するために
- 起き上がれば鳴るセンサー
- ベッドから降りたら鳴るセンサー
- 危険行為のある患者さんは身体抑制も
上記により昼夜問わず病棟内のナースコールは常に鳴り続け、走り回る日々でした。
ただ病棟全体に一体感はあったので、お互いの仕事を助け合いながら仕事をすることができました。
孤立したコロナ病棟
コロナ患者さんに携わっているスタッフは他の病棟との関わりはもちろん、病棟の掃除やシーツ類を管理する業者さん、食事ワゴンを届けるスタッフさんも出入り禁止令が出されていました。
そのためコロナの対応に加え、日頃行ってもらっていたことはすべて看護師の仕事となりました。
- 全部屋のゴミの回収
- トイレや病棟内の清掃
- 不足物品の補充や管理
- シーツ交換や寝具類の在庫管理
コロナ患者さんの対応に加え、上記のことも行わなければいけず日頃業者さんやスタッフさんの
”ありがたさ”が身にしみて実感できました。
そして休憩の時は接触をさけるために、一定の間隔をあけて無言で食べることを徹底していました。
医療従事者のコロナ感染による人手不足
コロナの対応をするにあたり、看護師の感染者も数人いました。
ギリギリの人数で患者さんを看ているため、忙しさに拍車がかかりました。
- 1人当たりの受け持ち人数の増加
- 中堅以上の看護師の負担(重症患者の受け持ちが増加するため)
- 数多いナースコール対応に悪戦苦闘 などなど…
この頃から、
コロナに感染したら休めるかな…。うつしてほしいな。
と思うようになりました。
残された医療従事者の体調不良
医療従事者の感染拡大により人手不足になりました。
そのため残されたスタッフの間では、突然泣き出してしまう人、全身に蕁麻疹ができている人など身体的にも精神的にも体調不良が続いていました。
私もコロナ病棟で働くようになってから体調不良が続きました。
- 体重が6Kg減少
- 職場に行くと吐き気や嘔吐を繰り返す
- 動悸や緊張状態におそわれる
- 意欲や気力の低下
何より集中しなければいけない現場であるのに、次の行動が考えられずボーっとしてしまうことが増えてしまい、
このままだと、いつか患者さんに影響を与えてしまう…。
とこわくなりました。
しかし「人手不足の中で、私が休んでしまえばスタッフの負担が大きくなってしまう…。」そう思うと、働く以外選択肢はないと思っていました。
離職する医療従事者たち…
過酷な労働状況が続き、コロナをきっかけに病院を去る人が続きました。
- コロナに関わることが怖くなってしまった人
- 体調不良となった人
- 家族のことを考えてやめる人
さまざまな理由や事情を抱えてやめていく人が後を絶ちませんでした。
そんな中夫から、
最近顔色が悪いよ。自分の体調を優先してね。周りの事は一旦置いといて相談してみよう。
とたくさん話を聴いてくれました。
そして上司に相談する決断がつき、翌日から休職をさせてもらうこととなりました。
上司に相談した時は、
「そんな状況だとは気づけずごめんね。病院のことは考えなくていいから、明日からお休みしよう。」
と優しい言葉をかけて頂きました。
結果、休職を経て回復すると思っていましたが、”再びあの病棟で働く”ということがまだ想像できない状態だったので、一旦退職することになりました。
退職する結果となりましたが上司にかけてもらった言葉に救われたことを、今後忘れることはないだろうと思います。
さいごに
今もコロナ患者さんの対応をしている医療従事者、そしてそれ以外の病院でもコロナ疑いの患者さんや重症患者さんの対応をしている医療従事者もたくさんいます。
そんな過酷な現場で働く医療従事者のみなさんへ、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし看護師も1人の人間です。
初めにお話したように、
- 過酷な労働状況
- 有給が自由にとれない
- 国からの手当ても不十分
- コロナによる経営悪化によりボーナスカットの病院もあり
上記の内容が改善されない限り、
”離職したい”、”復職したくない”
と思う看護師は増え続けるため、早急な対応が必要である課題だと思っています。
今でも最前線で働き尊敬できる医療従事者の1 人として、
期間限定でコロナ病棟へ異動の話を受けた。ハイケアが必要な病棟への異動は知識や技術もある程度認められたという事である意味光栄。でも丁重にお断りをした。今僕はコロナに罹るわけにはいかない。妊娠が継続するかどうかの瀬戸際にいる嫁を危険には晒せない。仕事も大事、でも家族はもっと大事。
— ゴリナー@嫁研究家🌹 (@gorilla_Nurse) April 23, 2021
とても勇気のいる決断ですが、家族のことを一番に考え判断できる素敵な決断だと思いました。
自分自身や家族を守れる判断は”自分”にしかできません。
私の場合は後のことを考えず決断してしまいましたが、
どうか”自己の健康”そして”支えてくれる家族”を大切にしてあげてくださいね(ˊo̴̶̷̤ ᴗ o̴̶̷̤ˋ)
今回は暗い話となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!
Twitter(@nurse_hsp)もしてますので、もしよければ覗いてみてください(ˊo̴̶̷̤ ᴗ o̴̶̷̤ˋ)
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